Q. アトピー性皮膚炎の原因は何ですか?

多くの医療サイトや動画では、アトピー性皮膚炎の原因として次の2つが大きく説明されています。

  1. 皮膚のバリア機能の低下
    「皮膚が乾燥し、バリアが壊れることでアレルゲンが入り炎症が起きる。だから保湿が大切」という説明。
  2. アレルゲンやストレスなどの外的要因
    「花粉・ダニ・ハウスダスト・食べ物・ストレスが原因になる」という説明。

乾燥やアレルゲン、ストレスなどが症状を悪化させることは事実です。ただし、それらを“原因そのもの”と説明してしまうのは正確ではありません。

実際には、体を守る免疫のチームワークが乱れてしまうこと(自然免疫と獲得免疫のバランスの異常) が病態の中心です。

かつては「アトピーはアレルギー反応(Th2型)のみが原因」と考えられていたため、花粉やダニといったアレルゲン対策が重視されてきました。

しかし現在では、アレルギー反応に加えて自己免疫的な反応(Th1型など)も関与することが分かっています。

そのため炎症が長引き、症状が慢性化して治りにくくなるのです。

確かに保湿は皮膚の状態を整えるうえで役立ちますし、生活環境を整えることも症状の悪化を防ぐうえで意味があります。

しかし、それらはあくまで悪化因子への対策であって、根本的な原因を治すものではありません。

だからこそ、アトピー性皮膚炎を理解する第一歩は「原因は未解明だが、病態の中心は免疫異常にある」という事実を知り、悪化因子や保湿との違いを正しく認識することなのです。

そして、免疫に異常をきたす原因は、同じアトピー性皮膚炎の患者さんでも一人ひとり異なります。

その背景を丁寧に見極め、東洋医学的に診察・治療していくことが、根本改善への糸口となります。


関連ページへのご案内

上部へスクロール