一般的には「乾燥や環境要因が原因」と言われますが、正確には原因は未解明です。免疫の異常が病態の中心であり、環境要因や保湿は“悪化因子”にすぎません。
多くの医療サイトや動画では、アトピー性皮膚炎の原因として次の2つが大きく説明されています。
- 皮膚のバリア機能の低下
「皮膚が乾燥し、バリアが壊れることでアレルゲンが入り炎症が起きる。だから保湿が大切」という説明。 - アレルゲンやストレスなどの外的要因
「花粉・ダニ・ハウスダスト・食べ物・ストレスが原因になる」という説明。
乾燥やアレルゲン、ストレスなどが症状を悪化させることは事実です。ただし、それらを“原因そのもの”と説明してしまうのは正確ではありません。
実際には、体を守る免疫のチームワークが乱れてしまうこと(自然免疫と獲得免疫のバランスの異常) が病態の中心です。
かつては「アトピーはアレルギー反応(Th2型)のみが原因」と考えられていたため、花粉やダニといったアレルゲン対策が重視されてきました。
しかし現在では、アレルギー反応に加えて自己免疫的な反応(Th1型など)も関与することが分かっています。
そのため炎症が長引き、症状が慢性化して治りにくくなるのです。
確かに保湿は皮膚の状態を整えるうえで役立ちますし、生活環境を整えることも症状の悪化を防ぐうえで意味があります。
しかし、それらはあくまで悪化因子への対策であって、根本的な原因を治すものではありません。
だからこそ、アトピー性皮膚炎を理解する第一歩は「原因は未解明だが、病態の中心は免疫異常にある」という事実を知り、悪化因子や保湿との違いを正しく認識することなのです。
そして、免疫に異常をきたす原因は、同じアトピー性皮膚炎の患者さんでも一人ひとり異なります。
その背景を丁寧に見極め、東洋医学的に診察・治療していくことが、根本改善への糸口となります。