治療期間を決めるのはあなた次第――必要な時間には意味があります
A. アトピー性皮膚炎の治療期間は個々の状態によって大きく異なりますが、軽症の方で1年、重症の方では平均して6年ほどかかるケースもあります。
治療期間を決める要素は、以下のような条件によって大きく左右されます。
• アトピー性皮膚炎の重症度
• これまでにどのような治療を受けてきたか(特にステロイド歴)
• 当院からの生活指導をどれだけ実践できているか
たとえば、軽症のお子さんで、ステロイドなどの治療歴が少ない方は、比較的早く改善する傾向にあります。
一方で、長年ステロイドなどで免疫を抑え、皮膚が一時的に綺麗に見えていた方は、治癒までに最も時間がかかるケースです。
実際に当院で記録している写真の経過を見ると、重症の方の場合、3ヶ月単位で皮膚の状態に段階的な変化が現れ、着実に次のステージへと進んでいることが確認できます。
目安としては、重症の方において:
• 1年ほどで、もっともつらい状態からは脱出できます
• 2〜3年で乾燥などの外的要因に左右されにくくなり、症状も大きく落ち着いてきます
• さらに数年かけて、皮膚の質が安定し、症状の程度や範囲が狭くなっていくことが多いです
• ステロイド治療をこれから止める方は、+1年程度、皮膚が不安定な「脱ステ」の時間が必要になることもあります
このように、重症の方は平均して6年ほどかかることもあるのですが、それは決して悲観的な数字ではありません。
アトピー性皮膚炎で鍼灸治療を受けに来られる方の多くは、すでに長年にわたり改善が見られず、「最後の選択肢」として来院されることが多いです。
数十年改善しなかった状態が、数年で安定してくるのであれば、それは非常に前向きな経過と言えるのではないでしょうか。
また、「治療」とは身体ができなかったことを“できるようにする”ということです。
勉強や習い事も、ある程度の実力がつくまでに時間が必要なのと同じように、免疫という体の仕組みそのものを調整していくには、ある程度の時間がかかるのです。